米国CBP(税関・国境警備局)は2026年10月22日、国際郵便(メール)で米国に到着する一部の貨物について、正式通関(Formal Entry)手続きへの対応が必要となる適用開始日(コンプライアンス期限)を、2027年1月20日まで延期すると発表しました。対象は、FDAなど他省庁(Partner Government Agency/PGA)の規制対象品、HTSUS第98・99類に基づく特別な関税分類品、自由貿易協定(FTA)による無税適用を主張する郵便貨物です。食品の多くはFDAのPGA規制対象に含まれるため、国際郵便を使って米国へ食品・飲料を発送している日本企業にも関係する発表です。
今回の発表内容
CBPは2026年10月22日付の連邦官報(Federal Register)で、「Indefinite Suspension of the De Minimis Exemption for Mail Shipments and New Postal Informal Entry Process; Delayed Compliance Extension」と題する最終規則(Final rule; extension of compliance date)を公表しました。これは、2026年6月24日付の暫定最終規則で新設された19 CFR 145.12(a)(2)(v)・(vi)の適用開始日を延期するものです。パブリックコメントの募集は行われておらず、CBPは行政手続法(APA)上の「Good Cause」(正当な理由)に基づき、意見募集を経ずに即時施行する形を取っています。
制度・規則の説明
2026年6月の規則により、郵便網で米国に到着する800ドル以下の少額貨物について、従来の関税免除(de minimis)が無期限に停止されました。その後CBPは、郵便貨物向けの簡易電子申告制度(通称Entry Type 13)を導入し、多くの低価格帯の郵便貨物はこの簡易手続きで通関できるようになっています。
ただし、以下の3カテゴリーに該当する貨物は簡易手続きの対象外とされ、正式通関(Formal Entry)またはこれに相当する手続きへの対応が必要です。
- FDAなどPGA(他省庁)の規制対象品
- HTSUS第98・99類に基づく特別な関税分類品
- FTA(自由貿易協定)による無税適用を主張する貨物
この3カテゴリーについての適用開始日は当初2026年10月22日とされていましたが、CBPは事業者・通関業者・物流事業者がシステム対応や社内手続きの整備に十分な時間を確保できるよう、今回さらに90日間、2027年1月20日まで延期しました。
主な変更点
- 対象:PGA規制対象品、HTSUS第98・99類の特別関税分類品、FTA無税適用品を国際郵便で輸入する貨物
- 変更点:正式通関義務化のコンプライアンス期限を2026年10月22日から2027年1月20日に延期(90日間の延長)
- 法的性質:最終規則によるコンプライアンス期限の延期であり、正式通関を求める要件自体の内容は変更されていません
- 対象外:簡易電子申告(Entry Type 13)の対象となる貨物は今回の延期と無関係で、従来通り運用されます
日本企業への影響
FDAは食品を含む多くの品目を管轄するPGAの一つであるため、国際郵便を通じて米国へ発送される食品・飲料(越境EC、B2Bサンプル、小口直販など)は、基本的にPGA規制対象品に該当し、正式通関の対象となる可能性があります。
今回の発表は、正式通関の義務化そのものを撤回するものではなく、適用開始を90日先送りするものです。したがって、2027年1月20日以降は、対象となる郵便貨物について、通関業者を通じた正式通関手続きへの対応が必要になる見込みです。今回の変更によって日本から米国への食品輸入要件が緩和されたわけではなく、対応期限が後ろにずれただけである点に注意が必要です。
郵便(日本郵便の国際小包・EMS等)を使って米国の消費者やバイヤーに直接食品を発送している事業者は、取扱貨物がPGA規制対象品に該当するかどうかを、通関業者や物流パートナーと確認しておくことをおすすめします。
今後確認すべきポイント
CBPは2026年10月に、書簡・フラット便を除くほとんどの国際郵便貨物を対象とする「低価格貨物(Low-Value Shipments)」に関する別の規則案も公表しており、将来的には正式なデータ提出の対象範囲がさらに広がる可能性があります。対象貨物の判定基準(PGA規制の有無、関税分類、FTA適用の有無)や、2027年1月20日に向けた具体的な手続き・システム対応の詳細について、CBPから追加のガイダンスが出る可能性があるため、継続的に確認することをおすすめします。


