米国食品医薬品局(FDA)は2026年7月20日、Food Facility Registration(FFR:食品施設登録)に関する情報の適切な管理を促す注意喚起(Constituent Update)を公表しました。FSVP Importerや米国内で食品事業を行う日本企業にとって、FFRは輸出入手続きの前提となる重要な登録情報であり、その取り扱いには注意が必要です。
今回の発表内容
FDAは、(1)登録義務がないにもかかわらずFFRを取得するケースの増加、(2)第三者の「registrar」業者がFFR番号・PIN・FIS-FURLSのユーザー名やパスワードを登録状況確認の名目で要求するケース、(3)TikTok Shopなど第三者販売プラットフォームが出品時にFFR登録証明書の提出を求めるケース、の3点を問題として挙げています。FDAは、こうした認証情報の共有が、第三者による不正なFFRのリンク付け・変更・取消しにつながるリスクがあると警告しています。
制度の説明
FFRは、米国内で食品を製造・加工・包装・保管する施設(外国施設を含む)に義務付けられている登録制度で、Bioterrorism Act及びFSMAに基づき21 CFR Part 1 Subpart Hに規定されています。登録が不要な施設については21 CFR 1.225〜1.227に例外規定があり、私的な住居(private residence)は施設に該当しません。今回の発表はガイダンスや規則改正ではなく、既存制度の運用に関する注意喚起(Constituent Update)であり、新たな法的義務を新設するものではありません。
主な変更点・ポイント
- FIS-FURLSのユーザー名・パスワードは個人ごとのアカウントであり、他者と共有すべきではない。追加担当者が必要な場合はサブアカウントを設定する。
- FFR番号・PINは非公開情報であり、FDAは第三者への提供を求めていない。ただし、輸入食品の事前通知(Prior Notice)等、21 CFR Part 1 Subpart Iに基づき商流上の下流事業者へFFR番号を共有する必要が生じる場合はある。
- 誤って番号・PINを第三者に共有してしまった場合は、登録の取消し・再登録を検討する。
- 公開情報として利用できるのはFEI(FDA Establishment Identification)番号であり、FEI Search Portalで確認できる。
日本企業への影響
今回の発表によって、日本から米国への食品輸入要件そのものが変更されたわけではありません。もっとも、FSVP Importerや米国内で活動する日本企業の多くは、US Agentや代行業者を通じてFFRを保有・管理しており、FIS-FURLSの認証情報やFFR番号を外部の「registrar」やECプラットフォームから求められる場面が実務上生じ得ます。特に越境ECでの販路拡大を検討する企業は、出品審査等の名目でFFR証明書の提出を求められるケースに注意が必要です。認証情報を安易に共有すると、登録情報の改ざんや取消しなど事業継続に関わるリスクにつながります。
今後確認すべきポイント
自社または委託先のFIS-FURLSアカウントの管理状況(共有の有無、サブアカウント設定の要否)を確認するとともに、FFR番号・PINの提供を求められた場合は、その要求元が正当な取引先かどうかを慎重に確認することが望まれます。不審な要求を受けた場合は、FDAへの報告も選択肢となります。


