FDA(米食品医薬品局、Human Foods Program)は、水産物のラベルにおける「米国原産(U.S.-Origin)」表示について、どのような表示であれば虚偽・誤解を招く表示(misbranding)に該当しないかを示すドラフトガイダンス「U.S.-Origin Statements on Seafood」を公表した。
今回の発表内容
本ガイダンスはFDAの2026年10月23日付の文書であり、その公表を知らせる通知(Availability)は連邦官報(Federal Register)に2026年10月27日付で掲載された(Docket番号:FDA-2026-D-6729)。パブリックコメントの受付期限は2026年12月28日。
制度・規則の説明
本ガイダンスは法的拘束力のないドラフト(案)段階の文書であり、FDAの「現時点の考え方」を示すものに過ぎない。新たな義務を創設するものではなく、最終化されるまでは効力を持たない。根拠となるのは連邦食品・医薬品・化粧品法(FD&C Act)第403条(a)(1)(表示が「虚偽または誤解を招く」場合は不当表示とする規定)および第201(n)条(重要な事実を欠く表示は誤解を招くとみなす規定)である。なお、USDA(7 CFR Part 60)やFTC(16 CFR Part 323)が定める別の「Made in USA」関連規則とは異なるものであり、本ガイダンスはそれらに代わるものではない。対象はナマズ(catfish、USDA管轄)を除く水産物(単一原材料の水産物、および複合食品に含まれる水産物成分)。
主な変更点(ガイダンスが示す表示例)
ガイダンス案は、以下のような表示を「全体として虚偽・誤解を招くものでない限り」許容され得る例として示している。
- 「U.S.-Caught」:米国(排他的経済水域を含む)で、または米国管轄下の米国籍船で漁獲された水産物
- 「U.S. Farm-Raised」:米国の養殖施設で育成された水産物
- 「Processed in the United States」:海外で漁獲・養殖されたが、加工工程の全体を米国内で行った水産物
- 「USA Seafood」:米国で漁獲または米国で産卵・養殖され、加工・販売まで米国内で完結した水産物
- 「Made with U.S. Seafood」:複合食品内の水産物成分がすべて上記条件を満たす場合(一部のみ該当する場合は「Made with U.S.-Caught Seafood」のような限定表示を推奨)
国旗等のグラフィックを使う場合も、米国と関連する部分(漁獲・加工等)を明示する説明文を併記するよう推奨している。
日本企業への影響
今回のガイダンス案は、水産物に「米国原産」を示す表示をいつ使えるかを整理するものであり、日本から米国へ水産物を輸出する企業の輸入手続き・コンプライアンス要件を直接変更するものではない。もともと日本で漁獲・加工された水産物に「U.S.-Caught」「USA Seafood」等の米国原産表示を付けることは認められないため、通常の輸出実務に新たな制約が生じるわけではない。
一方で、日本産の原料を米国に輸出し、米国内のパートナー企業が加工・再包装して販売するような取引がある場合は、「Processed in the United States」等の表示が使えるかどうかの判断に関わるため、米国側の取引先と表示方針を確認しておく価値がある。
今後確認すべきポイント
- パブリックコメント期限(2026年12月28日)後、内容がどのように最終化されるか
- 最終ガイダンス公表時に、USDA・FTCのMade in USA関連規則との関係がどう整理されるか
- 自社または米国側パートナーが「米国原産」系の表示を使用している場合、本ガイダンスの例と整合しているかの確認


