FDA(米国食品医薬品局)は2026年10月29日、乳児用調製粉乳(infant formula)の栄養素要件を見直す規則案(Notice of Proposed Rulemaking)を公表しました。約30年ぶりとなる大幅な見直しの第1段階で、日本から乳児用調製粉乳を米国へ輸出している、または将来の輸出を検討している企業にとって確認しておく価値がある発表です。
今回の発表内容
今回公表されたのは、連邦食品・医薬品・化粧品法(FD&C法)201(z)条が定める「乳児用調製粉乳」に該当する製品の栄養素要件(21 CFR 107)を見直す規則案です。Docket番号はFDA-2026-N-10832、Federal Register文書番号は2026-22273。パブリックコメントの受付期限は2027年2月26日とされています。あわせてFDAは、乳児用調製粉乳の化学汚染物質に関する検査結果も公表し、「Infant Formula Chemical Contaminants Dashboard」を新設しています。
制度・規則の説明
今回の発表はあくまで規則案(Proposed Rule)であり、最終規則(Final Rule)ではありません。確定した義務ではなく、現時点で事業者に新たな対応義務は発生していません。FDAは現在必須とされている30種類の栄養素要件を3段階に分けて見直す方針を示しており、今回はその第1段階(8栄養素)にあたります。最終的には1つの包括的な最終規則にまとめる予定とされています。
主な変更点
第1段階の規則案では、ヨウ素(下限5→15µg/100kcal、上限75→50µg/100kcal)、マンガン(下限5→1µg/100kcal、新たに上限50µg/100kcalを設定)の基準値変更に加え、ビタミンA・ビタミンDについて単位をIUからµgに変更することが提案されています。塩化物・カリウム・セレン・ナトリウムは現行基準を維持する案です。また、現在は必須ではないアラキドン酸(ARA)、DHA、L-カルニチンについて、必須化の是非に関する意見も募集しています。規則が最終化された場合、栄養素の変更に応じて表示(Nutrition Facts等)の更新も必要になる見込みです。
日本企業への影響
FDAの公表資料には、国内製造か輸入かによる区別や、日本企業・輸出業者に特化した記載はありません。今回の変更によって、日本から米国への乳児用調製粉乳の輸入要件が直ちに変更されたわけではありません。ただし、規則案が最終化されれば、対象製品の製造業者は再処方や表示の更新が必要になる可能性があり、最終規則の発効から3年の移行期間が設けられる見込みです。米国向けに乳児用調製粉乳を輸出している、または輸出を検討している日本企業は、自社製品の栄養成分設計が今回の基準変更の対象となるかどうかを確認しておくとよいでしょう。
今後確認すべきポイント
現時点では規則案の段階であり、2027年2月26日までの意見募集を経て内容が変更される可能性があります。対象企業は、パブリックコメントの提出を検討するとともに、最終規則化の時期や、表示・処方変更の移行期間(提案では3年)の内容を継続して確認することをお勧めします。


