米国税関・国境警備局(CBP)は2026年10月8日、連邦官報(Federal Register)に少額貨物(Low-Value Shipments)の通関手続きに関する規則案(Proposed Rule、Docket USCBP-2026-0298、RIN 1685-AA38)を掲載した。対象は、国際郵便や宅配便で米国に到着する少額貨物の「非公式通関(informal entry)」に関する申告ルールで、2025年8月以降続くDe Minimis(少額輸入免税)停止を受けた一連の措置の一環である。VIAWORKSでは2026年6月のDe Minimis全面停止、同年7月の簡易通関ガイダンス公表を既報しているが、今回はそれらの運用をCBPが正式な規則として定めようとするものである。
今回の発表内容
本規則案は、2026年12月7日までコメントを募集するProposed Ruleであり、現時点では最終規則ではない。最終規則の確定時期・発効日は示されておらず、規則案の内容がそのまま確定するとは限らない。
制度・規則の説明
米国では2025年8月29日の大統領令14324により800ドル以下の貨物に対するDe Minimis免税が停止され、2026年2月の大統領令14388、同年6月の暫定最終規則2件により停止が無期限化された(VIAWORKS既報)。2025年7月成立の歳出関連法により、De Minimis免税制度自体は2027年7月1日に法的に終了する予定となっている。今回の規則案は、免税対象外となった少額貨物が利用する「非公式通関(informal entry)」の申告手続き・保証(bond)要件・郵便貨物向け新区分を整備するものである。
主な変更点
現行の非公式通関(ET11)は貨物到着後15日以内の電子申告で足りるが、規則案では到着時または到着前までの事前申告を義務付ける。荷受人が貨物の所有者・購入者と異なる場合は、最終受取人の氏名・住所の追加記載も求められる。Chapter 99 Subchapter III/IV対象品目の非公式通関上限額は、現行の250ドルから2,500ドルへ引き上げられる。郵便貨物向けには新しい電子非公式通関区分「ET13」が新設され、発送者情報とUPU S10追跡番号の提出が義務付けられる(2026年9月22日から試験運用が開始済み)。運送業者には、インバウンド・マニフェストへの郵便追跡番号の記載が求められ、期限内に申告されない郵便貨物は到着15日後に放棄されたものとみなされ、米国郵便公社(USPS)が処分または差出人への返送を行う。ET11・ET13の申告には基本輸入・入場保証(Basic Importation and Entry Bond)が必要となり、保証条件違反時の最低損害賠償額は1件あたり1,000ドルとされる。このほか、CBPが正式通関(formal entry)を求める基準の拡大も盛り込まれている。なお、真正な贈答品(bona fide gifts)の取扱いは変更されない。
日本企業への影響
今回の規則案自体は食品やFSVP(Foreign Supplier Verification Program)を直接の対象とするものではなく、食品の輸入要件そのものを変更するものではない。ただし、国際郵便や宅配便を使ってサンプル品や小ロットのEC販売用食品などを非公式通関で米国へ送っている日本企業・輸出事業者にとっては、電子事前申告の義務化や保証要件の追加により、通関手続きが厳格化し、コストが増加する可能性がある。CBP自身の試算では、郵便貨物の新区分(ET13)1件あたり、通関業者費用や申告書類作成の手間を含めて約40ドルの追加コストが生じるとされている。また、荷受人が貨物の所有者・購入者でない場合は、認定通関業者を輸入者(Importer of Record)として選任する必要がある点にも注意したい。
今後確認すべきポイント
コメント期限(2026年12月7日)後に公表される最終規則の内容・発効日を確認する必要がある。自社または取引先の物流が国際郵便・宅配便による非公式通関を利用している場合は、ET13の試験運用状況や今後必要となる提出書類(発送者情報、追跡番号等)を早めに確認しておきたい。正式通関への移行基準の拡大範囲や、bona fide giftsの取扱いについても、最終規則で変更がないか注視する必要がある。


