この記事では、HTSコード(Harmonized Tariff Schedule of the United States)の基本と、公式ツールでの調べ方、食品の分類例を整理します。
HTSコードとは何か
HTSコードは、アメリカに輸入されるすべての商品に割り当てられる10桁の分類番号です。世界共通の6桁コード(HSコード)に、アメリカ独自の4桁が追加された構成になっています。米国国際貿易委員会(USITC)が管理しており、この番号によって関税率や輸入統計上の扱いが決まります。
10桁のうち、最初の6桁は国際的に共通(HSコード)ですが、残り4桁はアメリカ独自の細分類です。そのため、他国向けのHSコードをそのままアメリカ向けの申告に使うことはできません。
HTSコードとFDA規制は別の話
ここは誤解されやすい部分です。HTSコードは関税率と輸入統計のための分類であり、その製品がFDAの食品規制(施設登録・FSVP・ラベル表示等)の対象になるかどうかとは、基本的に別の話です。
つまり、「HTSコードの関税率が低い(あるいはFree)だから規制対応も軽い」という判断はできません。米国内で消費される食品である以上、関税とは別にFDA施設登録や米国代理人の要否を確認する必要があります(詳しくはアメリカ食品輸出のFDA対応完全ガイドをご覧ください)。逆に、関税分類さえ確定すればFDA側の準備が不要になるわけでもありません。この2つは並行して進める実務、と捉えておくと整理しやすくなります。
HTSコードの調べ方:hts.usitc.govでの手順
USITCが公式に提供する検索ツール(hts.usitc.gov)を使うのが基本です。
- キーワードで検索する: 製品の英語名(例: green tea、soy sauce)を検索ボックスに入力します。日本語では検索できないため、英語の一般名称に置き換える必要があります。
- 候補となる見出し(Heading)を確認する: 検索結果には、6桁の見出し(Heading)レベルの候補が複数表示されます。製品の性質(加工の有無、包装形態、容量等)に応じて、該当する項目を絞り込みます。
- 10桁の細分類まで確認する: 見出しの下位に、加工方法や成分の違いによる10桁までの細分類が表示されます。ここまで確認して初めて、実際の関税率(General/Special/Column 2の各欄)が判明します。
- 税率欄を読む: 「General」は通常のMFN(最恵国)税率、「Special」は自由貿易協定等による優遇税率(適用国が括弧内に記載)、「Column 2」は特定国向けの高税率です。日本からの輸出では基本的にGeneral欄(および該当する場合はSpecial欄の日本向け表記)を確認します。
具体例で見る分類の違い:緑茶と醤油
言葉で説明するより、実際の例を見たほうが分かりやすいので、2つの食品で確認します(2026年9月時点のUSITC HTS検索ツールで確認)。
緑茶(HTSコード0902.10)
- 見出し0902.10は「容量3kg以下の小分け包装の緑茶(不発酵)」
- そのうちフレーバー付き(Flavored)は0902.10.10で、General税率6.4%
- フレーバーなし(Other)は0902.10.90で、General税率Free(無税)
同じ緑茶でも、フレーバーの有無という製品説明の違いだけで関税率が変わります。抹茶ブレンド飲料のように香料等を加えた製品を扱う場合、「フレーバー付き」に該当するかどうかの判断が重要になります。
醤油(HTSコード2103.10.00.00)
- 醤油は単独の10桁コードとして規定されており、General税率は3%
このように、同じ「食品」というくくりでも品目ごとに税率は大きく異なります。自社製品を一般的な「Sauce」や「Tea」といった大分類で済ませず、成分・加工方法まで踏まえた具体的な検索が必要です。
分類に迷ったときは:事前教示制度(eRuling)
検索結果だけでは分類に確信が持てない場合、CBP(米国税関国境警備局)の事前教示制度(Ruling)を利用できます。CBPのガイダンスによれば、eRulings Templateを使ってNational Commodity Specialist Division(NCSD)へオンラインで申請でき、申請後1営業日以内に受付確認とControl Numberが発行されます。申請には、取引に関する事実関係の完全な説明(申請者情報、製品の詳細な説明、原材料・製造工程等)が必要です。
回答期限はCBPのガイダンス上「受理から30暦日以内」が標準とされていますが、試験や他機関への照会が必要な場合や本部審査になる場合は、90日程度かかることもあります。今後同じ製品を継続的に輸出する予定があり、分類に確信が持てない場合は、早めに申請しておくと安心です。
また、CBPは過去の裁定事例をCROSS(Customs Rulings Online Search System)で公開しており、類似製品の過去の分類判断を検索して参考にすることもできます。
HTSコード確認でよくある誤解
- 「HSコードが分かればアメリカでも同じ番号が使える」ではありません: 上位6桁は共通ですが、下4桁のアメリカ独自分類まで確認しないと、正確な税率は分かりません。
- 「関税率がFreeなら輸入は簡単」ではありません: 関税率の高低と、FDA規制(施設登録・FSVP・ラベル等)の要否は別軸の話です。
- 「一度確認したHTSコードはずっと変わらない」とは限りません: HTS自体は定期的に改正されるほか、2025年以降の関税措置のように追加関税が特定コードに紐づけられるケースもあります。継続的な取引では、定期的な確認が実務上望ましいです。
VIAWORKSができること
VIAWORKSでは、FDA施設登録・米国代理人・FSVP・食品ラベル対応など、食品輸出における規制対応を専門的に支援しています。HTSコードの分類そのもの(関税分類の確定や通関手続き代行)は、通関士や貿易実務の専門家が扱う領域であり、VIAWORKSのサービス範囲には含まれません。ただし、規制対応の準備を進める過程で「この製品はFDA側で何を確認すべきか」を整理するお手伝いはできますので、関税分類と合わせて規制面が気になる場合は無料相談でお気軽にお問い合わせください。
まとめ
HTSコードは、USITCの公式検索ツール(hts.usitc.gov)で製品の英語名から調べるのが基本ですが、フレーバーの有無のような細かな製品説明の違いで税率が変わることもあり、上位の見出しだけで判断せず10桁まで確認することが重要です。分類に確信が持てない場合は、CBPの事前教示制度(eRuling)やCROSSでの過去事例検索も活用できます。なお、HTSコードの確認とFDA規制対応は別軸の実務であり、どちらか一方が済んでいればよいわけではない点にも注意が必要です。2026年の関税措置の詳細についてはトランプ新関税と食品輸出への影響もあわせてご覧ください。


