導入
2026年9月25日、FDA(米国食品医薬品局)は連邦官報(Federal Register)において、「ビタミンD2不活化パン酵母(Vitamin D2 Inactive Bakers Yeast)」を新たな食品添加物として認める最終規則(Final Rule)を公布しました。カナダのLallemand社が申請していた食品添加物申請(Food Additive Petition、Docket No. FDA-2021-F-1157)を承認するもので、連邦食品添加物規則(21 CFR)に新たに172.383条が追加されます。
今回の発表内容
本規則は、パン酵母に紫外線を照射してエルゴステロールをビタミンD2に変換し、その後加熱処理により酵母を不活化させて製造される原料について、朝食用シリアル、穀物・パスタ製品、植物性ミルク代替飲料、フルーツスムージー、野菜ジュース、スープ、代替食(ミールリプレースメント)バー・飲料、大豆・植物性たんぱく製品、イースト発酵焼成品など、計18の食品区分での使用を認めるものです。区分ごとに最大使用量(例:朝食用シリアル350 IU/100g、穀物・パスタ製品90 IU/100g、イースト発酵焼成品400 IU/100gなど)が定められています。
制度・規則の説明
本規則はFinal Rule(最終規則)であり、Proposed Rule(提案段階の規則)やGuidance(ガイダンス)とは法的性質が異なります。連邦官報への掲載日である2026年9月25日付で法的に発効しています。ただし、利害関係者は2026年10月26日までにFDAへ異議申立て(objection)や公聴会の開催を求めることができる期間が設けられています。
主な変更点
- 21 CFR 172.383条が新設され、「ビタミンD2不活化パン酵母」がビタミンD2の新しい供給源として食品添加物リストに追加された。
- FDAは、本原料の使用について、既存のビタミンD2マッシュルームパウダー由来原料の承認区分・使用量に相当する「代替的」な使用と位置付けており、食品全体としてのビタミンD摂取量を新たに増加させる設計にはなっていないとしている。
- 対象となるのは当該原料を採用する製造者に限られ、既存の食品添加物規則全般が変更されたわけではない。
日本企業への影響
今回の措置は、特定の原料(Lallemand社が製造するビタミンD2不活化パン酵母)について新たな使用を認める許可型の規則であり、日本から米国へ食品を輸出する企業に一律の新しい義務を課すものではありません。ビタミンD2で強化したシリアルや植物性飲料、代替食バーなどを米国向けに製造・輸出しており、当該原料の採用を検討している企業にとっては、使用可能な食品区分と上限量を確認しておく価値があります。一方、当該原料を使用しない企業について、今回の変更によって既存の対米食品輸出要件が直接変更されたわけではありません。
今後確認すべきポイント
- 自社製品でビタミンD強化に本原料の使用を検討する場合は、21 CFR 172.383に定められた対象食品区分と上限使用量を確認すること。
- 原料サプライヤーが本規則の仕様(Lallemand社の製造工程)に適合した原料を供給しているか確認すること。
- 2026年10月26日までの異議申立て期間中に規則の適用範囲が修正される可能性がある点に留意すること。


