米国食品医薬品局(FDA)は2026年10月9日、食塩(sodium chloride)を必須または任意の原材料として定めている「標準規格(Standards of Identity)」食品について、食塩の代わりに塩代替物質(salt substitute)を使用することを認める最終規則(Final Rule)を公表しました。連邦官報(Federal Register)には2026年10月13日付で正式掲載される予定です。
今回の発表内容
FDAは今回の最終規則により、21 CFR第130・131・133・136・137・139・145・150・155・156・158・161・163・166・168・169部に定められた80の標準規格を直接改正し、これらを引用する59規格を含め、合計139の標準規格で塩代替物質の使用を認めます。対象にはチーズ、パン、ジャム類など多くの加工食品が含まれますが、冷凍パン粉衣エビ(§161.175・§161.176)やオイスター(§161.130)など一部品目は対象外です。今回のルールは21 CFR第130部に新たにSubpart Cを新設し、「塩代替物質」の定義(§130.30(c)(1))を追加するもので、具体的にどの代替物質を使うべきかまでは指定していません。
制度の性質
本措置は、トランプ政権が掲げる「Make America Healthy Again」構想やFDAの任意的ナトリウム低減目標(Voluntary Sodium Reduction Goals)の一環として位置づけられていますが、法的性質はあくまで任意の選択肢を追加するものです。FDAは今回の規則について、塩代替物質の使用を義務付けるものではなく、罰則を伴う新たな規制要件も設けないと明記しています。また、原材料表示(成分の一般名表示)、アレルゲン表示、該当する場合の栄養成分表示(カリウム表示等)といった既存の表示義務にも変更はありません。発効日は連邦官報への正式掲載から60日後となる見込みで、2026年10月13日に予定どおり掲載されれば2026年12月中旬頃になるとみられますが、正式掲載日が確定するまで厳密な発効日は未確定です。なお、乳製品関連規定(第131・133部)については、掲載後30日以内に正当な異議申立てがあった場合、当該部分の効力が一時停止される可能性があります。
日本企業への影響
今回の最終規則によって、日本から米国への食品輸入要件が新たに追加されたわけではありません。対象となる標準規格に基づく製品(チーズ、パン、ジャム等)を米国向けに製造・輸出している日本企業にとっては、レシピ変更を行う義務が生じるのではなく、希望すればナトリウムを削減した製品設計を選べる任意の選択肢が広がる、という性質の変更です。
ただし、実際に塩代替物質を使用する場合は、使用する物質がFDAの基準で安全かつ適切(safe and suitable)と認められるものである必要があり、また表示上は従来どおり成分を一般名で正しく宣言する必要がある点に留意が必要です。
今後確認すべきポイント
自社が米国向けに輸出する製品が、今回改正された139の標準規格のいずれかに該当するかを確認すること。該当する場合、塩代替物質を使用した製品設計を検討する際は、使用物質の安全性評価(GRAS該当性等)および成分表示の正確性を確認すること。連邦官報への正式掲載(2026年10月13日予定)後、正式な発効日・官報テキストを改めて確認することが望まれます。


