米国国際貿易裁判所、IEEPA関税返金を求める集団訴訟を認定|対象は2025年2月〜2026年2月の関税支払い

◷ 2026.10.14 CBP
◉
一言でいうと AI要約
  • 米国国際貿易裁判所(CIT)が2026年10月8日、2025年2月1日から2026年2月19日の間にIEEPA関税を支払った輸入者を対象とする集団訴訟(クラスアクション)を認定した
  • 裁判所によるクラス認定であり関税返金を確定させる命令ではなく既に個別提訴している事業者は対象から除外される。本案の判断や上訴の可能性も残る
  • 日本からの食品輸入要件自体への直接の変更はないが米国側の輸入者が対象期間にIEEPA関税を支払っていた場合は輸入記録の確認に値する

米国の輸入実務者向けサービス会社などからの案内で、「IEEPA関税の返金を求める集団訴訟(クラスアクション)が認定された」という情報が広まっています。VIAWORKSが米国国際貿易裁判所(CIT:U.S. Court of International Trade)の判断原文を確認したところ、事実の核心部分は裁判所の記録で確認できました。ただし、返金が確定したわけではなく、不確定要素も残っています。日本から米国へ食品・飲料を輸出し、現地の輸入者(Importer of Record)がIEEPA関税を支払っていた場合に関係する内容です。

今回の発表内容

CITのRichard K. Eaton判事は2026年10月8日、Freestyle World, Inc. v. United States Customs and Border Protection, et al.(Slip Op. 26-123、Court No. 26-01088)において、原告Freestyle World, Inc.が申し立てたクラスアクションの認定を認めました。

認定されたクラスの定義は、「2025年2月1日から2026年2月19日の間に、問題となった関税命令(Challenged Tariff Orders)に基づく関税を支払ったすべての輸入者(Importers of Record)」です。ここでいう「問題となった関税命令」とは、IEEPA(国際緊急経済権限法)に基づき発動された、いわゆる「相互関税」等の関税命令を指します。これらは連邦巡回区控訴裁判所(Federal Circuit)がV.O.S. Selections事件で違法と判断し、米国最高裁判所がLearning Resources, Inc. v. Trump事件(2026年2月)でその判断を支持したものです。

認定はUSCIT Rule 23(b)(2)に基づくもので、対象者はオプトイン(参加申請)手続きなしに自動的にクラスへ含まれます。ただし、すでにIEEPA関税の返金を個別に提訴している事業者は、このクラスから除外されます。

制度・規則の説明

今回の認定は、裁判所が将来的に「関税命令の影響を受けた輸入申告(entry)について、IEEPA関税を考慮せずに liquidation(確定)または reliquidation(再確定)を命じる」ことを目指すための手続き上の一歩です。裁判所自身も、この認定が対象輸入者への関税返金につながることを「期待する」としていますが、クラス認定は返金命令そのものではありません。本案(merits)の判断はまだ行われておらず、政府側がクラス認定自体を不服として連邦巡回区控訴裁判所に上訴する可能性も残っています。

CBPは現在、IEEPA関税の返金について、ACE(Automated Commercial Environment)内のCAPE(Consolidated Administration and Processing of Entries)という仕組みを通じて、未確定(unliquidated)の輸入申告等から返金処理を段階的に進めている状況です。確定清算済みの申告への対応は、今後の裁判所の命令によって扱いが変わる可能性があります。

主な変更点

  • クラスアクションとして認定されたことで、個別に訴訟を起こしていない輸入者も、原則として追加手続きなしにクラスの一員として扱われる。
  • 対象期間は2025年2月1日〜2026年2月19日に支払われたIEEPA関税。
  • 2026年10月13日(現地時間)に非公開の進行協議(status conference)が予定され、今後のスケジュールや政府側の対応方針が固まる見通し。
  • 現時点でCBPに新たな返金義務や手続き変更を命じる裁判所命令は出ていない。

日本企業への影響

今回の認定自体は、FDAやCBPによる食品の輸入規制・手続きを変更するものではなく、日本から米国への食品輸入要件が直接変更されたわけではありません。

一方で、米国側の輸入者が2025年2月〜2026年2月の間にIEEPA関税(国別の「相互関税」等)を支払っていた場合、その輸入者はこのクラスの対象となる可能性があります。日本産食品・飲料を輸入している米国側のImporter of Record(提携輸入者やFSVP Importerなど)が該当する輸入申告を抱えているかどうかを確認する価値はありますが、返金額や実施時期は未確定であり、クラス認定自体が上訴審で覆る可能性も残ります。日本側の輸出企業が直接何らかの申請や対応を行う必要があるものではなく、関税負担者である米国側輸入者の状況を確認する形になります。

今後確認すべきポイント

  • 2026年10月13日の進行協議以降に示される今後のスケジュールと、政府側の上訴の有無。
  • CBPのCAPEを通じた返金対象の範囲(確定清算済み申告の扱いを含む)が、本件訴訟の進展とどう連動するか。
  • 米国側の輸入者が自社の輸入申告について、対象期間のIEEPA関税支払い実績を確認し、必要に応じて通関士や貿易法の専門家に相談すること。

関連する解説記事

▤ 出典

U.S. Customs and Border Protection (CBP)

Freestyle World, Inc. v. United States Customs and Border Protection, et al., Slip Op. 26-123, Court No. 26-01088 (Ct. Int'l Trade, Oct. 8, 2026) (2026年10月8日公表)

CBP一次情報を確認する ↗

米国輸出に関する無料相談受付中!

FDA登録・FSVP・米国向け食品表示から、輸入・販売まで。
「自社の商品は輸出できる?」「何から準備すればいい?」といった段階から、VIAWORKSの専門スタッフがご相談を承ります。

▤ News Information
発表機関
U.S. Customs and Border Protection (CBP)
発表日
2026年10月8日
(米国時間)
重要度
!  HIGH
関連分野
輸入通関 関税 米国輸出
一次情報を確認する ↗

Freestyle World, Inc. v. United States Customs and Border Protection, et al., Slip Op. 26-123, Court No. 26-01088 (Ct. Int'l Trade, Oct. 8, 2026)
(外部サイトに移動します)

REGULATORY ALERT

米国食品規制の最新情報を日本語で解説

FDA・USDA・CBPなどの重要なアップデートをお届けします。

アラートを受け取る →

アメリカへの食品輸出で
お困りですか?

規制対応・ラベル・輸入手続きまで、 VIAWORKSが米国進出をサポートします。

✉ 無料で相談する →
↗ この記事をシェア
URLをコピーしました

新着記事

FOR SMALL START

小規模からの
米国進出を応援しています。

VIAWORKSでは、1SKUから米国販売を始めたい事業者様からのご相談も歓迎しています。

小ロット・テスト販売からでも
お気軽にご相談ください。

ご相談はこちら →

米国への食品輸出で
お困りの方へ

FDA・FSVP・食品ラベルなど、
米国食品輸出の実務を
サポートしています。

無料相談はこちら →