米国食品医薬品局(FDA)は2026年10月19日、レモン果汁を対象に実施した経済的動機による品質偽装(Economically Motivated Adulteration、EMA)のサンプリング調査結果を公表した。新しい規則やガイダンスの発表ではなく、既に実施済みの監視プログラムの結果報告であるが、FDAが輸入食品の品質偽装にどのように対応しているかを示す事例として、米国向けに飲料・加工食品を輸出する企業にとっても参考になる内容である。
今回の発表内容
FDAは2022年から2025年にかけて、国内産・輸入品を合わせたレモン果汁195検体を分析した。その結果、違反が確認されたのは輸入品7検体(輸入品に占める違反率4.5%、全体では3.6%)のみで、国内産からは違反は確認されなかった。違反の内容は、FDAが定めるレモン果汁の規格(21 CFR 146.114)に適合しない原材料の使用で、具体的には甘味料やクエン酸の添加、加水による希釈、レモン以外の果汁の混入などが確認されたという。
制度・規則の説明
今回の発表は、FDA Human Foods Programが定期的に実施している経済的動機による品質偽装(食品偽装)の監視プログラムの一環である。食品偽装とは、経済的利益を目的として、原材料を安価なもので代替したり、表示と異なる組成の製品を販売したりする行為を指す。対象であるレモン果汁の規格は連邦規則(21 CFR 146.114、Standard of Identity)で定められており、この規格に適合しない製品は規格違反品として扱われる。今回の発表はこの規格の新設や改正ではなく、既存規格に基づく検査結果の報告である点に注意が必要である。
主な変更点
規制上の新しい義務や期限は設定されていない。FDAは、違反が確認された輸入品について該当するロットの入国を拒否するとともに、関連する事業者・製品をImport Alert 99-47に掲載したことを明らかにした。Import Alert 99-47に掲載された事業者は、第三者機関による分析結果など規格適合を示す証拠をFDAに提出しない限り、当該製品が自動的に留め置かれる(Detention Without Physical Examination)対象となる。
日本企業への影響
今回の変更によって、日本から米国への食品輸入要件が直接変更されたわけではありません。対象はレモン果汁に限定されており、同カテゴリーを米国へ輸出している日本企業は限られるとみられる。ただし、FSVP Importerにとっては、FDAが特定品目について継続的にサンプリング調査を行い、規格違反が確認された場合はImport Alertによる是正証明の提出を求めている実例として参考になる。果汁・飲料関連製品を輸出する企業は、自社製品が該当する標準規格(Standard of Identity)を満たしているかをあらためて確認しておくとよい。
今後確認すべきポイント
自社の輸出製品(特に果汁・飲料類)に適用される標準規格の有無とその内容を確認する。サプライヤーや自社がFDAのImport Alertの対象リストに含まれていないかを定期的に確認する。FSVPにおけるサプライヤー検証の一環として、原材料の真正性(食品偽装対策)をどのように確認しているかを見直す。


