米国食品医薬品局(FDA)は2026年10月20日、連邦官報(Federal Register)上で、ダイエタリーサプリメント(dietary supplement)に使用する新規食品成分(New Dietary Ingredient、NDI)の届出(NDIN)に関する業界向け最終ガイダンスの公表を告知した。NDI届出に記載すべき「成分の同一性情報」と「安全性情報」の内容を、Q&A形式で具体的に示すものである。
今回の発表内容
今回確定したガイダンスの正式名称は「New Dietary Ingredient (NDI) Notifications and Related Issues; Identity and Safety Information About the NDI: Guidance for Industry」で、ドケット番号はFDA-2025-D-6501。2016年8月に公表された改訂版ドラフトガイダンスのうち、セクションVI.A(同一性情報)、VI.B(使用歴その他の安全性の根拠)、VI.C(安全性結論の根拠の要約)の3セクションを最終化したものである。ドラフトのその他の部分は依然草案のままであり、FDAはウェブサイト上で確定部分と未確定部分を区別して示している。
制度・規則の説明
NDIとは、1994年10月15日より前に食品として米国で流通していなかった成分を指す。連邦食品・医薬品・化粧品法(FD&C Act)上、こうした成分を含むダイエタリーサプリメントを米国の州際通商に初めて流通させる事業者(製造業者・流通業者)は、原則として流通開始の75日前までにNDI届出をFDAへ提出しなければならない。この届出義務自体は従来からの法的要件であり、今回新設されたものではない。届出には、想定される使用条件下で当該成分を含む製品が合理的に安全であると結論付けられる根拠情報を含める必要がある。
今回のガイダンスは、この届出に何を記載すべきかについてのFDAの推奨事項を示すものであり、ガイダンスという文書の性質上、法的拘束力を持つ義務を新設するものではない。
主な変更点
最終化された内容では、従来ドラフトで用いられていた「包括的安全性プロファイル(comprehensive safety profile)」という表現が削除され、NDI届出全体を通じて単一の「安全性ナラティブ(safety narrative)」としてまとめる方向性が明確化された。また、同一性情報・使用歴・安全性結論の根拠について、どの段階でどのような試験データを示すべきかがFAQ形式で整理されている。なお、本ガイダンスへの意見は今後も随時(at any time)受け付けるとされている。
日本企業への影響
今回のガイダンスは、米国向けにダイエタリーサプリメントや機能性食品を展開し、米国で過去に流通歴のない新規成分(特定の植物抽出物や新規の機能性素材など)を使用しようとする日本企業に関係する。NDI届出を準備する際、同一性情報・安全性情報をどのように記載すべきかの参考になる文書である。
一方、既存の成分のみを使用する一般的な加工食品・飲料の輸出や、FSVP、食品施設登録、Prior Notice等の輸入手続き要件が、今回の発表によって直接変更されたわけではない。
今後確認すべきポイント
NDI届出の対象となるのは、米国で新規性のある食品成分に限られる。該当する可能性がある企業は、まず自社が使用する成分が米国で既に流通歴のある成分(NDIに該当しない)かどうかを確認する必要がある。該当する場合は、FDAの規制情報検索ページで公開されているガイダンス本文を確認し、必要に応じて米国内の規制コンサルタントや弁護士への相談を検討することが望ましい。


