CBP(米国税関・国境警備局)は2026年6月24日、少額輸入貨物に対する関税免除制度(de minimis:800ドル以下の貨物に適用されてきた無税・簡易通関の特例)について、国際郵便(international postal network)以外のすべての輸送形態を対象に、無期限の停止を告示しました。同日付で、国際郵便経由の貨物についても同様の停止措置と新たな簡易通関手続きを定める別の告示が公表されています。
今回の発表内容
これまで、1件あたりの評価額が800ドル以下の貨物は、19 U.S.C. §1321(a)(2)(C)に基づく「de minimis」免税により、関税なし・簡易な通関(manifestからのrelease等)で米国に輸入できました。今回の告示(Interim Final Rule)により、この免税は、国際郵便以外のすべての輸送モード(DHL・FedEx・UPS等の国際宅配便、航空貨物、海上貨物を含む)について即日(2026年6月24日)から無期限に停止されました。該当する貨物は、原則として正式(Formal)または簡易(Informal)の輸入申告手続きを経て、関税・諸税を納付する必要があります。
国際郵便経由の貨物についても、別告示(2026-12669)によりde minimis免税が停止されましたが、代わりに評価額2,500ドル以下かつHTS(関税分類)第1類〜97類に該当する貨物向けの新たな簡易郵便通関手続き(Postal Informal Entry)が用意されました。この手続きの本則の発効日は2026年7月24日、一部品目区分の遵守期限は2026年10月22日とされています。ただし、FDA等の許認可が必要な貨物(食品の多くが該当)は、この簡易手続きの対象外となり正式申告が必要とされています。
制度の説明
de minimis免税は、越境ECを含む少額貨物の輸入手続きを簡素化する制度として広く利用されてきました。今回の措置は、大統領令(Executive Order 14324、14388等)に基づき、CBPが独自の法的権限(19 U.S.C. §1321(b))により実施した規制上の措置であり、恒久法の改正ではなく「無期限の停止(Indefinite Suspension)」という位置づけです。
日本企業への影響
越境EC・D2Cで少額の食品・飲料を米国の消費者や小規模事業者に直接発送している日本企業にとって、影響は大きいと考えられます。これまで800ドル以下の貨物であれば関税免除・簡易通関で済んでいたものが、原則として関税の納付と、より詳細な通関情報の提出が必要になります。特に食品はFDAのPrior Notice等の対象となることが多く、簡易郵便通関手続きの対象外として正式な輸入申告が必要になるケースが多いと考えられます。
今後確認すべきポイント
少額貨物を米国向けに発送している事業者は、輸送形態(国際郵便か国際宅配便か)ごとの取扱いの違い、必要な通関書類、関税分類(HTSコード)、適用される関税率を通関業者等と確認し、価格設定・配送方法の見直しを検討することが望まれます。


