Seafood HACCPとは?アメリカへ水産食品を輸出する前に知っておきたい基本

だしパック、魚醤、水産系の調味料や加工食品を米国へ輸出しようとすると、「FSVPの対象外」という説明を目にすることがあります。しかしこれは「規制がない」という意味ではありません。水産食品には、FSVPとは別の枠組みであるSeafood HACCP(21 CFR Part 123)が適用され、実務上はむしろFSVPよりも古くから存在する厳格な仕組みです。この記事では、Seafood HACCPの基本と、米国側の輸入者が負う検証義務について、日本の輸出事業者が押さえておくべき範囲に絞って解説します。

Seafood HACCPの位置づけ — なぜFSVPの対象外になるのか

FDAの食品安全規制は、原則としてFSMA(食品安全強化法)に基づくFSVP(外国供給業者検証プログラム)がベースになっています。しかし水産食品(Fish and Fishery Products)は、FSVPが制定されるより前の1997年から、独自のHACCP規制である21 CFR Part 123の対象となっています。

FSVPの規則(21 CFR 1.502)では、輸入者がすでに21 CFR Part 123のSeafood HACCP規制の対象製品を扱っている場合、その製品についてはFSVPの適用が除外される旨が定められています。ここで注意すべきは、「水産物だから規制が緩い」のではなく、「適用される規制の条文がFSVPからPart 123に切り替わる」だけだという点です。管轄が異なるだけで、規制そのものが不要になるわけではありません。

対象となる製品・ならない製品

21 CFR Part 123の対象は、人の消費に供される魚・貝類等の水産食品全般です。缶詰・冷凍・乾燥・発酵(魚醤、だし、佃煮の原料等)といった加工形態を問わず、原則として対象になります。

一方で、水産物を主原料としない加工食品(例:水産エキスをごく少量含む調味料等)については、その配合・製造工程によって適用の判断が分かれる場合があります。この境界線はFDA自身も個別の製品仕様に基づいて判断するとしており、一律の基準で断定できません。自社製品がどちらに該当するかは、原材料構成と製造工程を踏まえて個別に確認する必要があります。

HACCP計画に求められる基本構造

21 CFR Part 123は、水産食品の加工業者に対して、製品ごとのHACCP(危害分析重要管理点)計画の作成・実施を義務付けています。主な要素は次の通りです。

  • 製品・工程ごとの危害要因分析(微生物、化学的危害、物理的危害)
  • 重要管理点(CCP)の特定と管理基準の設定
  • モニタリング手順と記録の保持
  • 逸脱発生時の是正措置
  • 検証手続き(HACCP計画自体が機能しているかの確認)
  • 一般衛生管理(Sanitation Control Procedures)

これらは主に米国内で製品を加工・保管する施設に課される要件です。日本国内の工場がすべてこれと同一の記録体系を構築しなければならないわけではありませんが、米国側の輸入者(Importer)は、供給元である日本の工場がこれに相当する食品安全管理を行っているかを検証する義務を負います。この検証義務こそが、日本の輸出事業者にとって実務上最も関係が深い部分です。

米国側輸入者に課される検証義務(21 CFR 123.12)

Part 123.12は、水産食品の輸入者に対し、供給元(日本の製造者)が適切なHACCP管理を行っていることを検証する義務を課しています。検証の方法として、規則上は主に2つのルートが用意されています。

1. 覚書(MOU)ルート
FDAと輸出国政府との間に、水産物の安全性に関する政府間の覚書(Memorandum of Understanding)が存在する場合、その枠組みに基づいて検証要件が満たされることがあります。日本政府との間にどのような覚書が存在するかは、輸出のたびに最新の状況を確認する必要があります。

2. Verification Proceduresルート(能動的な検証手続き)
MOUによらない場合、輸入者は次のような検証手続きのうち、少なくとも一部を実施することが求められます。

  • 供給者のHACCP計画・監視記録・是正措置記録の入手と確認
  • 供給者施設に対する現地監査(年1回以上を想定した継続的な確認)
  • 定期的な最終製品の検査(第三者機関によるサンプリング検査等)
  • 上記に代わる、製品の安全性を裏付けるに足る記録の継続的な確認

輸入者はこれらの活動を通じて「合理的な保証(reasonable assurance)」を得ることが求められており、どの手法をどの頻度で組み合わせるかは、製品リスクに応じて輸入者自身が判断する仕組みになっています。この「リスクに応じた個別判断」という性質上、「これさえやれば必ず十分」という一律の正解は規則上示されていません。

日本の水産加工メーカーが実務として準備すべきこと

米国側の輸入者から検証への協力を求められた際、日本側の製造者が用意しておくとスムーズに進みやすい資料の例です(あくまで一般的な準備事項であり、個別の輸入者が求める内容は異なります)。

  • 自社の食品安全管理体制の文書(HACCPプランに相当するもの。対米HACCPと完全一致していなくても、危害分析・管理点・記録の骨格が確認できる資料)
  • 工程管理記録・モニタリング記録の保管状況
  • 第三者認証(HACCP、ISO 22000、FSSC 22000等)を取得している場合はその証明書
  • 過去の自主検査・微生物検査結果
  • 原材料の受入検査記録

これらは輸入者による検証活動(現地監査や記録レビュー)にそのまま活用できるため、事前に整備しておくことで、米国側とのやり取りが円滑になります。

よくある誤解(法的要求とベストプラクティスの違い)

  • 「水産物はFSVPの対象外だから、輸出者側は何もしなくてよい」→ 誤り。適用条文がFSVPからPart 123に切り替わるだけで、米国側輸入者の検証義務そのものはむしろFSVPより歴史が長く、厳格に運用されています。
  • 「HACCP認証を取得していれば自動的に要件を満たす」→ 認証は検証活動を裏付ける有力な資料にはなりますが、Part 123.12が求める検証手続き(現地監査や記録確認等)を輸入者が別途実施する必要がなくなるとFDAが明言しているわけではありません。個別の輸入者の方針によります。
  • 「MOUルートとVerification Proceduresルートのどちらを使うべきか」は輸入者側の判断事項であり、輸出者が一方的に決められるものではありません。

VIAWORKSができること

VIAWORKSでは、Studio 1414との連携により、21 CFR Part 123対象製品(だしパック・魚系調味料等)の輸入者側検証(Importer Verification)に対応しています。日本側の製造者から見た場合、「米国側の輸入者がどのような検証を求めてくるか」「どの資料を事前に準備しておくとスムーズか」といった実務面での整理をサポートできます。個別製品がPart 123の対象になるかどうかの判定を含め、まずは無料相談で製品情報をお聞かせください。

まとめ

水産食品の米国輸出は「FSVP対象外」という一言だけで判断せず、Seafood HACCP(21 CFR Part 123)という別の規制体系が適用されることを前提に準備を進める必要があります。特に米国側輸入者が負う検証義務(123.12)の存在を輸出者側も理解しておくことで、取引先とのコミュニケーションが円滑になり、輸出プロセス全体の停滞を防ぐことにつながります。より広いFDA対応の全体像はアメリカ食品輸出のFDA対応完全ガイドもあわせてご覧ください。

参考一次情報:21 CFR Part 123 — eCFR

Prop 65とは?アメリカ向け食品に警告表示は必要か

米国向けに食品を輸出していると、FDAの連邦規制とは別に「Prop 65」という言葉を目にすることがあります。Prop 65はFDAの規制ではなく、カリフォルニア州の州法です。それにもかかわらず、Amazon USのようにカリフォルニア州の消費者にも販売される販路を使う限り、実質的に無視できない存在になっています。この記事では、Prop 65の基本的な仕組みと、食品輸出・Amazon出品における実務上の考え方を整理します。

Prop 65とは何か — 連邦規制ではなく州法である

Prop 65(正式名称:Safe Drinking Water and Toxic Enforcement Act of 1986)は、カリフォルニア州が指定する化学物質(発がん性・生殖毒性等が指摘される物質)に、消費者が一定量以上さらされる可能性がある製品について、警告表示を義務付ける州法です。

FDAの食品規制(施設登録、Nutrition Facts、FSVP等)とは根拠法・所管機関が異なり、Prop 65を所管するのはカリフォルニア州環境保護庁配下のOEHHA(California Office of Environmental Health Hazard Assessment)です。したがって、Prop 65への対応は「FDA対応が完了していれば自動的にクリアできるもの」ではなく、独立した検討が必要です。

警告義務が生じる基本的な仕組み

Prop 65の対象物質リスト(Listed Chemicals)には、鉛・カドミウムなどの重金属や、加熱調理・焙煎工程で生成しうるアクリルアミドなど、食品との関連で言及されることがある物質も含まれています。ただし、リストに掲載されている物質すべてが、すべての食品に一律で該当するわけではありません。実際に警告表示が必要になるかどうかは、対象物質がSafe Harbor Level(安全域の基準値)を超えて含まれているかどうかという、製品ごとの分析に基づく判断になります。

新たに物質がリストに追加された場合、事業者には通常12ヶ月の猶予期間が設けられ、その間に該当製品の状況を確認することが想定されています。また、従業員10名未満の事業者には適用除外規定があるなど、事業規模による例外も存在します。

ここで区別すべき点: 「Prop 65の対象物質が製品に含まれているかもしれない」ことと、「Safe Harbor Levelを超えて含まれており、警告表示が法的に必要である」ことは別の話です。前者だけで警告表示の要否を断定することはできず、本来は成分分析に基づく個別判断が必要になります。

2025年の短縮形警告(Short-Form Warning)改正のポイント

OEHHAは2025年1月1日付でProp 65の警告表示規則を改正しており、食品の警告表示に関わる事業者が押さえておくべき変更点が複数あります。

  • 化学物質名の明記が必須に:改正後の短縮形警告では、該当するエンドポイント(発がん性・生殖毒性)ごとに、少なくとも1つの化学物質名を警告文に明記することが求められるようになりました。従来のように物質名を挙げない汎用的な短縮形警告は使えなくなります。
  • 食品パッケージでも短縮形警告が利用可能に:2025年の改正により、食品についても一定の条件下で短縮形警告の使用が認められるようになりました。
  • 移行期間:2028年1月1日より前に製造・ラベリングされた製品については、改正前の警告表示のままでの販売継続が認められています。新たに製造・ラベリングする製品から、順次改正後の要件への対応を進めることになります。

自社製品が現在どちらの警告文言を使用しているか、また新規に製造するロットからいつ改正後の様式に切り替えるかは、ラベル制作のタイミングで確認しておくべき事項です。

Amazon US・ECモールでの実務対応

Amazon USでは、出品者に対してカリフォルニア州の消費者向けにProp 65の警告表示の要否を確認するよう求める仕組みがあり、商品登録の過程でProp 65に関する申告を求められる場合があります。これはAmazonが独自に定める出品ポリシーであり、Prop 65そのものの法的義務とは別に、販路側の要件として対応が必要になる点に注意が必要です。米国向けの食品ラベル全般の要件については米国輸出で必須の食品ラベル対応とNG表記一覧もあわせてご覧ください。

迷った場合にどう考えるか

Prop 65は成分分析や訴訟リスクの評価が絡む専門領域であり、最終的な要否判断は、化学物質の分析(ラボでの成分試験)や、必要に応じて米国の弁護士による助言を踏まえて行うべき事項です。VIAWORKSとして断定的な法的判断を提供することはできません。

一方で実務上は、Safe Harbor Levelの超過を厳密に分析するコストと時間をかけるよりも、該当する可能性が否定できない場合には、念のため警告表示を追加しておくという対応を取る事業者が少なくありません。実際、米国市場では同種の食品カテゴリーであっても、警告表示があるものとないものの両方が流通しているのが実情です。「表示を外すための精緻な分析」よりも「表示を残しておくことのコスト」の方が小さいケースが多いため、判断に迷う場面ではこうした保守的な対応も選択肢の一つになります。

いずれの場合も、この記事の内容は一般的な情報提供であり、個別製品についての法的判断や成分分析の代替にはなりません。

VIAWORKSができること

VIAWORKSでは、FDAラベルサポートの一環として、Nutrition Facts等の連邦規制対応に加え、Prop 65の警告表示をラベルデザイン上どこにどのように配置するか(短縮形警告のフォーマット、6ポイント以上のフォントサイズ確保等)の実務的な整理をサポートしています。成分分析や法的リスクの最終判断が必要な場合は、提携するラボ・米国弁護士への橋渡しも行っています。まずは製品情報を無料相談でお聞かせください。

まとめ

Prop 65はFDAとは別の、カリフォルニア州法に基づく警告表示制度です。対象物質の存在イコール警告表示の必要性ではなく、Safe Harbor Levelとの比較に基づく個別判断が本来必要になります。2025年の短縮形警告改正(2028年1月1日移行期限)により、化学物質名の明記が必須化された点は、今後ラベルを新規作成・改訂する際に必ず確認すべきポイントです。判断に迷う場合は、保守的に警告表示を残す実務対応も広く行われています。

参考一次情報:Proposition 65 in Plain Language — OEHHA

FDA食品施設登録の更新とは?2026年の期限・DUNS番号・手続きを解説

目次

  1. FDA食品施設登録とは
  2. 外国施設に必須の「米国代理人(U.S. Agent)」
  3. 2026年の更新(Biennial Registration Renewal)はいつ行うか
  4. 更新を怠るとどうなるか
  5. 更新に必要な情報・UFI(DUNS番号)について
  6. 更新にかかる費用
  7. 「更新」と「情報の変更(Update)」の違い
  8. 日本企業が今すぐ確認すべきこと
  9. 次に確認すべきこと
  10. まとめ

「FDA施設登録は一度済ませたから大丈夫」——この認識は、2026年に入ってから見直す必要があります。米国に食品を輸出する事業者に義務付けられているFDA食品施設登録(Food Facility Registration)は、一度登録すれば永久に有効というものではなく、2年に1度、決められた期間内に更新する義務があるためです。

この記事では、2026年の更新期間・手続きの流れ・更新を怠った場合にFDAの一次情報がどこまでを明記しているか、そして外国施設に必須の「米国代理人(U.S. Agent)」との関係を、FDA公式情報に基づいて整理します。

1. FDA食品施設登録とは

FDA食品施設登録は、米国で消費される食品を製造・加工・包装・保管する施設に対して、米国連邦食品・医薬品・化粧品法(FD&C Act)第415条・21 CFR Part 1 Subpart Hに基づき義務付けられている登録制度です。米国外の施設であっても、その施設で作られた食品が米国に輸出される場合は登録対象になります。

【法的要求事項】米国向けに食品を輸出する外国施設は、原則としてFDAへの施設登録が必須です(対象外となる例外品目もあるため、自社製品が対象かどうかは個別確認が必要です)。

2. 外国施設に必須の「米国代理人(U.S. Agent)」

【法的要求事項】FDAガイダンス(Registration of Food Facilities)は、外国施設が登録する際に米国代理人(U.S. Agent)を指名することを登録要件の一つとして明記しています。米国代理人は、以下の条件を満たす必要があります。

  • 米国内に居住または事業拠点を置いていること
  • 米国内に物理的に所在していること
  • FDAと施設との間の連絡窓口としての役割を果たすこと

FDAガイダンスは「米国代理人は、施設の登録手続きを行う権限を与えられる場合がある」とも述べています。つまり米国代理人は、単なる緊急連絡先ではなく、登録・更新の実務そのものを担う実務担当者になり得る存在です。

【VIAWORKSとしての実務推奨】日本企業が自社で米国内に拠点を持たない場合、米国代理人は外部の専門業者に委託するのが一般的です。米国代理人は施設ごとに1者を指名する必要があるため、複数の関連会社・工場を持つ場合は、それぞれの登録内容と米国代理人情報が最新かどうかを個別に確認することを推奨します。

3. 2026年の更新(Biennial Registration Renewal)はいつ行うか

FDA施設登録は、偶数年ごとに更新(Renewal)する義務があります。FDA公式ガイド(Food Facility Registration User Guide: Biennial Registration Renewal)によると、2026年の更新期間は以下のとおりです。

  • 受付開始: 2026年10月1日 午前0時1分(米国時間)
  • 受付終了: 2026年12月31日 午後11時59分(米国時間)

前回の更新期間は2024年でしたので、2026年はその次の更新サイクルにあたります。

【VIAWORKSとしての実務推奨】更新期間は約3か月ありますが、担当者の異動や米国代理人の変更が重なると社内確認が後手に回りやすいタイミングでもあります。更新期間が始まる前(例年8〜9月頃)に、登録内容と担当者体制を棚卸ししておくことを推奨します。

4. 更新を怠るとどうなるか

ここは、FDA自身が明記している事実と、そこから実務上想定される影響を分けて説明します。

【FDA一次情報が明記している事実】

  • FDA公式ファクトシート(Food Facility Biennial Registration Fact Sheet)は、「更新されなかった登録は、FDAにより失効したものとみなされる」と明記しています。
  • 同ファクトシートはさらに踏み込み、「FDAは、登録が失効した食品施設を、登録を行っていない施設とみなす」としています。
  • 失効後も米国向けに食品の製造・加工・包装・保管を継続する場合、「再登録が必要になる」と明記されています。

【FDA一次情報を組み合わせた場合に想定される影響(推論であることを明示)】

FDAの別のガイダンス(Registration of Food Facilities: Guidance for Industry)は、「登録義務がある施設が登録していない場合、その施設からの食品は輸入時に、施設が登録されるまで港湾または保税施設で保留される対象となる」と明記しています。

上記2つの一次情報を組み合わせると、更新を怠って「失効=未登録」とみなされた施設からの食品も、この保留規定の対象になり得ると考えられます。ただし、この結論はFDAが「更新失効時」に限定して明言した文言ではなく、「未登録施設」に関する規定を失効ケースに当てはめた推論である点に留意してください。実際に個別の輸入案件がどう扱われるかは、CBP(米国税関国境警備局)の運用にも左右されるため、断定はできません。

なお、登録番号が失効前後で変わるかどうかについては、確認できるFDA一次情報の範囲では明記されていないため、本記事では言及しません。

5. 更新に必要な情報・UFI(DUNS番号)について

更新手続きでは、既存の登録情報(施設名・住所・食品カテゴリー・緊急連絡先・米国代理人情報など)を確認し、変更がなければそのまま更新を確定させます。ここで必須となるのがUFI(Unique Facility Identifier、施設固有識別子)です。

【法的要求事項】FDAは現時点でUFIとしてDUNS(Data Universal Numbering System)番号を受け付けています(2026年時点でUEI〈Unique Entity Identifier〉への切り替えは食品施設登録においては求められていません。UEIは連邦調達契約〈SAM.gov〉の文脈で使われる別の識別子であり、混同しないよう注意が必要です)。

FDAは2023年9月15日以降、UFIの検証を厳格化しており、DUNS番号が確認できない登録・更新申請は受け付けない運用に移行しています。DUNS番号をまだ取得していない場合は、Dun & Bradstreet社のサイトから無料で取得できます。取得には数日かかることがあるため、更新期間の直前ではなく余裕を持って準備することが重要です。

6. 更新にかかる費用

【確認済み事実】FDA施設登録および更新そのものに、FDAへの手数料は発生しません。登録・更新はFURLSシステム上で無料で行えます。

ただし、米国代理人を専門業者に委託している場合や、DUNS番号取得・登録内容の英語での整備を代行依頼する場合は、その代行費用が別途発生します。

7. 「更新」と「情報の変更(Update)」の違い

FURLSシステム上には「Renew(更新)」ボタンと「Update(変更)」ボタンが別々に存在します。FDAガイドは「更新が完了するまでUpdateボタンは使用できない」としています。社名変更・住所変更などの情報更新も必要な場合は、まず更新(Renewal)を先に完了させ、その後で変更(Update)の手続きを行う順序になります。

8. 日本企業が今すぐ確認すべきこと

【VIAWORKSとしての実務推奨】

  • 自社(または米国側の関連会社)のFDA登録番号と、最後に更新した年を確認する
  • DUNS番号を保有しているか、保有している場合は現在の会社情報と一致しているかを確認する
  • 現在の米国代理人(U.S. Agent)情報が最新かどうかを確認する
  • 更新期間(2026年10月1日〜12月31日)を社内カレンダーに登録する
  • 施設登録の後に必要になるFSVP(外国供給業者検証プログラム)対応の要否もあわせて確認する

9. 次に確認すべきこと

FDA食品施設登録は、FDA対応全体の入口にあたる手続きです。施設登録が済んだ後は、輸入者側のFSVP(外国供給業者検証プログラム)対応や、事前通知(Prior Notice)、ラベル要件の確認が必要になります。全体像はアメリカ食品輸出のFDA対応完全ガイドで整理していますので、あわせてご確認ください。

まとめ

FDA食品施設登録は「取得して終わり」ではなく、2年ごとの更新によって初めて有効性が維持される制度です。2026年の更新期間は10月1日から12月31日まで。FDA自身のガイダンスは、更新を怠った登録を「失効=未登録」として扱うと明記しており、未登録施設からの食品は輸入時に保留される可能性がある規定と関連付けて理解しておくべきです。

UFI(DUNS番号)の確認や米国代理人情報の見直しなど、更新にあたって整理すべき項目は複数ありますが、いずれも早めに着手すれば大きな負担にはなりません。

ご相談について

VIAWORKSでは、日本企業に代わって米国代理人(U.S. Agent)としてFDAとの窓口を担い、FDA食品施設登録の新規登録・2年ごとの更新手続きの代行を行っています。DUNS番号の取得状況の確認から、更新期間中の申請代行まで対応しますので、担当者の異動などで社内管理が不安な場合もご相談ください。

FDA認証・米国代理人サービスの詳細を見る無料相談はこちら

参考・出典

  • FDA, Food Facility Biennial Registration Fact Sheetfda.gov/media/160352
  • FDA, Registration of Food Facilities: Guidance for Industryfda.gov/media/85098
  • FDA, Food Facility Registration User Guide: Biennial Registration Renewalfda.gov
  • FDA, Enforcement Policy for Providing an Acceptable Unique Facility Identifierfda.gov/media/143997
  • Federal Food, Drug, and Cosmetic Act, Section 415 / 21 CFR Part 1 Subpart H

米国向け食品のアレルゲン表示ガイド|9大アレルゲン・ゴマ義務化・Contains表示のルールを解説

目次

  1. 米国のアレルゲン表示制度(FALCPA)の基本
  2. 9大アレルゲンとは何か
  3. 2023年のゴマ表示義務化(FASTER Act)
  4. 表示の書き方:3つの要素を正確に理解する
  5. 対象外・例外となるケース
  6. 日本の表示制度との違い
  7. 日本食品の実務例
  8. Ingredient Statement・Contains文の記載例
  9. 次に確認すべきこと
  10. まとめ

日本の食品表示制度に慣れていると、見落としがちなのが米国のアレルゲン表示ルールです。日本の「特定原材料8品目」と米国の「主要食物アレルゲン9品目」は対象がほぼ重なりますが、完全に一致するわけではなく、表示の書き方のルールも異なります。

この記事は、法律そのもの(FALCPA・FASTER Act)に加えて、FDAが2025年1月に公表した最新のガイダンス(Guidance for Industry: Questions and Answers Regarding Food Allergen Labeling, Edition 5)の内容も反映しています。法律で決まっている法的要求事項と、FDAの現時点の考え方を示すガイダンスは性質が異なるため、本文中でも区別して記載します。

1. 米国のアレルゲン表示制度(FALCPA)の基本

米国では2004年に成立した食品アレルゲン表示・消費者保護法(FALCPA)により、主要食物アレルゲンを含む食品には、その原材料源を明記することが義務付けられています。

【法的要求事項】FALCPAの対象となる「主要食物アレルゲン」を含む加工食品は、原材料表示の中でアレルゲンの原材料源が消費者に分かる形で明記されていなければなりません。

2. 9大アレルゲンとは何か

FALCPA制定当初、主要食物アレルゲンは8品目でした。2021年のFASTER Actにより、2023年からゴマが加わり、現在は以下の9品目が対象です。

# アレルゲン
1 乳(Milk)
2 卵(Eggs)
3 魚(Fish)
4 甲殻類(Crustacean shellfish)
5 木の実(Tree nuts)
6 落花生(Peanuts)
7 小麦(Wheat)
8 大豆(Soybeans)
9 ゴマ(Sesame)

【FDAガイダンス(Edition 5、2025年1月)による定義の明確化】法律の条文自体は変わっていませんが、FDAは2025年1月に公表した最新のガイダンスの中で、「乳」「卵」の対象範囲についての考え方を次のように明確化しています。

  • 乳(Milk): 牛だけでなく、ヤギ・ヒツジなど、他の反芻動物(ruminants)の乳も対象に含まれる、とする考え方が示されています。
  • 卵(Eggs): 鶏卵だけでなく、アヒル・ガチョウ・ウズラなど、他の家禽の卵も対象に含まれる、とする考え方が示されています。

【重要な注記】上記はあくまでFDAのガイダンス、つまり「FDAの現時点の考え方」を示す文書での言及であり、FALCPA・FASTER Actという法律そのものが改正されたわけではありません。ガイダンスは法的拘束力を持つ規則ではありませんが、FDAの検査・指導の基準になる文書であるため無視してよいものではありません。

日本の食品表示基準の「特定原材料」8品目(えび・かに・くるみ・小麦・そば・卵・乳・落花生)と比べると、そば(buckwheat)は米国の9大アレルゲンには含まれておらず、米国は魚・甲殻類・大豆・ゴマも対象にしている点で違いがあります。

3. 2023年のゴマ表示義務化(FASTER Act)

【法的要求事項】2023年1月1日以降に製造される包装食品・サプリメントには、ゴマを主要食物アレルゲンとして表示することが義務付けられています。

FDAは、2023年より前に製造され、すでに流通・店頭に並んでいた在庫については、義務化を理由に回収する必要はないとしています。日本から輸出する食品が2023年以降に製造されたものである以上、この経過措置の対象にはならない点に注意してください。

【VIAWORKSとしての実務推奨】味噌・醤油・ドレッシング・菓子・調味料など、ゴマやゴマ油を原材料に使う日本の食品は多く、これまで英語ラベルにゴマの記載があっても「アレルゲンとして」明記されていない例が見受けられます。2023年以降に作成されたラベルであっても、表示方法(次章参照)が正しいかどうかは再確認する価値があります。

4. 表示の書き方:3つの要素を正確に理解する

「括弧書き」と「Contains文」という2つの方法として単純化されがちですが、FDAガイダンスに基づくと、実際には次の3つの要素の関係として理解する必要があります。

(1) 原材料の一般名・慣用名そのものがアレルゲン源を示している場合
たとえば「小麦粉(wheat flour)」のように原材料名自体に「小麦」が含まれる場合、その原材料についてはそれ以上の追加表示は不要です。

(2) 括弧書きによる表示(Parenthetical Declaration)
原材料の一般名・慣用名だけではアレルゲン源が伝わらない場合に用います(例:「whey(milk)」「ovalbumin(egg)」「gelatin(cod, haddock, pollock)」)。

(3) 「Contains」文(Contains Statement)
原材料表示の後に、含まれる主要食物アレルゲンをまとめて明記する方法です。【FDAガイダンスが明記する重要なルール】として、Contains文を使用する場合、そのアレルゲンがすでに原材料表示の中で明記されているかどうかにかかわらず、製品に含まれるすべての主要食物アレルゲンをContains文に列挙する必要があります。

つまり、「小麦粉」と原材料表示に書いてあるからといって、Contains文で小麦の記載を省略してよいわけではありません。Contains文を使うと決めた場合は、そこに全アレルゲンを漏れなく列挙する、という点が実務上のミスが起きやすいポイントです。

5. 対象外・例外となるケース

【確認済み事実】FALCPAに基づく主要食物アレルゲンの表示義務は、FDAが管轄する加工食品に適用されます。以下は、FDAではなく別の連邦機関が管轄するために対象外となる、あるいは適用範囲が限定されるカテゴリーです。FDAが管轄する食品全般が対象外になるわけではない点に注意してください。

  • 食肉・家禽肉、および一部の加工卵製品: 食肉(連邦食肉検査法)、家禽肉(家禽製品検査法)、なまず、および液卵・凍結卵・乾燥卵等の「加工卵製品」(卵製品検査法に基づきUSDAが管轄するもの)は、USDAの管轄下にあり、FDAの主要食物アレルゲン表示義務の対象外です。ただし、殻付きの卵そのものや、FDA管轄食品の原材料として使用される卵は、引き続き主要食物アレルゲン「卵(Eggs)」としてFDAの表示義務の対象です。「卵を使っているから一律で対象外」ではない点に注意してください。
  • アルコール・タバコ税務貿易局(TTB)管轄のアルコール飲料: TTBが管轄するアルコール飲料はFDAのアレルゲン表示義務の対象外です。ただし、すべてのアルコール飲料が一律にTTB管轄というわけではなく(アルコール度数や原料の組み合わせによってはFDA管轄となる製品もあります)、FDAガイダンス自体も「該当する機関に個別に確認すること」としています。自社製品がどちらの管轄になるかは、事前に個別確認が必要です。
  • 消費者の注文に応じてその場で包装される食品: 小売店・飲食店で消費者の注文に応じてその場で紙や箱に包装される食品(例: 注文を受けてから紙で包んで提供するサンドイッチ)は、FDAのアレルゲン表示義務の対象外です。一方で、小売店で販売するためにあらかじめ包装(プレパッケージ化)された食品は、この例外の対象ではなく、通常どおり表示義務の対象になります。「量り売りだから対象外」ではなく、「消費者の注文に応じてその場で包装したかどうか」が基準である点に注意してください。
  • 農産物そのもの(Raw Agricultural Commodities): 加工されていない生鮮の農産物そのものは対象外です。

さらに、FDAガイダンスは以下2点も明確にしています。

  • 高度精製油(Highly Refined Oils): 主要食物アレルゲンに由来する高度精製油(精製・脱色・脱臭済みの油)は、アレルゲン表示義務の対象外です(FD&C Act第403条(w))。ただし、油の原材料名自体(例:「大豆油」)は原材料表示に引き続き記載する必要があります。「アレルゲン表示は不要だが、原材料名としての記載は必要」という2段階の扱いになる点に注意してください。
  • 偶発的添加物(Incidental Additives): 加工助剤など、通常は原材料表示自体が免除される「偶発的添加物」であっても、アレルゲン表示の義務は免除されません。製造ライン上の加工助剤として小麦由来の成分が使われた場合、原材料表示は不要でも、アレルゲン表示(Contains文等)は必要になる場合があります。

6. 日本の表示制度との違い

日本の食品表示基準では、表示義務のある「特定原材料」8品目と、表示が推奨される「特定原材料に準ずるもの」約20品目という2段階の枠組みがあります。米国のFALCPA/FASTER Actには、この「推奨」という中間区分がなく、9大アレルゲンは一律で法的表示義務の対象です。

【VIAWORKSとしての実務推奨】日本語ラベルの特定原材料表示をそのまま英訳して米国向けラベルに転用するのではなく、米国の9大アレルゲンの枠組みに沿って原材料を棚卸しし直すことを推奨します。

7. 日本食品の実務例(典型的な配合を前提とした整理)

以下は、日本の代表的な食品カテゴリーにおける「典型的な配合例」を前提とした整理です。同じ品目名であっても、メーカー・商品ごとに配合は異なるため、実際のアレルゲン表示は必ず自社製品の原材料表を個別に確認してください。

食品カテゴリー 典型的にアレルゲンと関連しうる原材料 確認しておきたいポイント
醤油 小麦、大豆 一般的な醤油は小麦・大豆を原料とするが、「たまり醤油」等は小麦を使わない配合もあり、製品ごとに異なる
だし(かつお節ベース) 魚(かつお/英語表記例: bonito, skipjack tuna) FDAガイダンス上、「fish」という一般名だけで表示することはできず、具体的な魚種(例: bonito)を明記する必要がある。原材料の一般名自体が魚種を示している場合(例: 「bonito flakes」)は追加の括弧書きは不要だが、一般名だけで魚種が伝わらない名称(例: 単なる「fish stock」)を使う場合は、括弧書きまたはContains文で魚種を明記する必要がある
ごまだれ・ごまドレッシング ゴマ 主原料としてゴマを使うため、Contains文への記載漏れが起きやすい典型例
味噌 大豆、(麦味噌の場合は小麦) 米味噌・麦味噌・豆味噌で原料構成が異なる
焼き菓子・クッキー類(洋菓子) 小麦、卵、乳(配合により異なる) 小麦・卵・乳のいずれが含まれるか、またその組み合わせはレシピごとに異なるため、特定のアレルゲンが必ず含まれると一般化はできない。原材料表・配合表に基づく個別確認が必須

8. Ingredient Statement・Contains文の記載例

実際のラベル表記のイメージを、ごまだれ(ゴマ・醤油ベースの調味料を想定した例)でみてみます。

Ingredients: Soy Sauce (Water, Soybeans, Wheat, Salt), Sesame Paste, Sesame Oil, Sugar, Rice Vinegar.
Contains: Wheat, Soy, Sesame.

このポイントは、原材料表示の中で「Soybeans」「Wheat」という一般名がすでにアレルゲン源を示しているため追加の括弧書きは必須ではないこと、それでもContains文を使う場合は原材料表示上ですでに分かる小麦・大豆も含め、製品に含まれる主要食物アレルゲンをすべて列挙することです(本記事4章のルール)。

実務フローのイメージ

  1. 日本語の原材料表(配合表)を確認する
  2. 各原材料を英語の一般名・慣用名に変換し、Ingredient Statementを作成する
  3. 一般名だけでアレルゲン源が伝わらない原材料には括弧書きを追加する(例:魚の具体的な種類)
  4. Contains文を使う場合は、原材料表示上の記載の有無にかかわらず、含まれる9大アレルゲンをすべて列挙する

この一連の変換作業は、日本語の原材料名と英語表記のずれ、そして「一般名だけで足りるか、括弧書きが要るか」の判断が必要になるため、実務上つまずきやすい工程です。

9. 次に確認すべきこと

アレルゲン表示は、米国向け食品ラベル全体(原材料表示・Nutrition Facts・NG表記の回避等)の一部です。ラベル全体の要件はアメリカ食品輸出のFDA対応完全ガイドでも整理しています。また、実際に避けるべきNG表記の事例はこちらの記事であわせてご確認ください。

まとめ

米国向け食品のアレルゲン表示は、日本の特定原材料表示と似ているようで、対象品目・表示方法ともに異なる独自の制度です。2023年のゴマ義務化に加え、2025年のFDAガイダンス改訂で乳・卵の対象範囲の考え方も明確化されています。特にContains文を使う場合は「原材料表示に書いてあるから省略してよい」という誤解が実務上多く見られるポイントであり、注意が必要です。

ご相談について

VIAWORKSでは、日本語の原材料表(配合表)をもとに、米国向けIngredient Statement・アレルゲン表示(Contains文・括弧書き)を含むFDA食品ラベル全体の確認・作成を支援しています。自社製品のラベルがFALCPA・FASTER Act・FDA最新ガイダンスに沿っているか確認したい場合はご相談ください。

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参考・出典

  • FDA, Guidance for Industry: Questions and Answers Regarding Food Allergen Labeling (Edition 5), 2025-01-07 — fda.gov
  • Federal Register, Questions and Answers Regarding Food Allergens…(Edition 5): Guidance for Industry; Availability, 2025-01-07 — federalregister.gov
  • FDA, Questions and Answers Regarding Food Allergens (Edition 4)(旧版、比較参照。魚・甲殻類の種類特定ルール、USDA管轄「加工卵製品」の範囲、TTB管轄アルコールの扱い、注文対応時包装の例外の出典)— fda.gov/media/117410
  • FDA, What Are Major Food Allergens?fda.gov/media/164289
  • FDA, FASTER Act: Sesame as the 9th Major Food Allergenfda.gov
  • Food Allergen Labeling and Consumer Protection Act of 2004(FALCPA)/FD&C Act Section 403(w)
  • Food Allergy Safety, Treatment, Education, and Research (FASTER) Act of 2021